【資金繰り対策】去年より業績が下がる場合は仮決算による法人税の中間申告で納税を回避

中間申告とは

法人である限り、原則的に確定申告はしなければなりませんが、場合によっては中間申告もしなければならないことがあります。

中間申告は、前年度が黒字で法人税を一定額納めた場合に行う申告の事です。税務署や都道府県、市区町村に中間申告書を提出します。

中間申告には次の2つの方法があります。

  • 前年度の法人税の年額×6/12で計算する「前年度実績による中間申告」(予定申告ともいいます)
  • 当年度の上半期の仮決算に基づいて計算する「仮決算による中間申告」

(3月決算の場合の時系列)

確定した年間税額から前払である中間申告分を差し引いて、残りの分を確定申告分として納める、ということを毎年繰り返します。(黒字で法人税が毎年発生している場合に限ります。)

中間分+確定分=年間税額となります。

申告期限

事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内に中間申告及び納付をしなければなりません。

(例)3月決算の場合

事業年度開始の日(4/1)以後6月を経過した日(10/1)から2か月以内(11/30)

つまり、11/30が中間申告の期限となります。

中間申告書の提出が必要な法人(前年度実績による中間申告)

前年度実績による中間申告

普通法人で、当年度の事業年度が6か月を超える場合で、次の算式で計算した金額が10万円を超える場合には、税務署に前年度実績による中間申告書を提出する必要があります。

普通法人とは、公共法人、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等以外の法人をいいます。

つまり、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社など一般的な会社のことです。

(算式)

(年額)は前期の申告書別表一の差引所得に対する法人税(中間控除前)の金額を使います。前事業年度の確定申告に係る法人税額は6月経過日の前日までに確定したものを使います。算式は割掛け(分母で割ってから円未満切捨の端数処理をして分子を乗じる)で計算します。税額は100円未満切捨します。

仮決算による中間申告

仮決算による中間申告とは、事業年度開始の日以後6月の期間を一事業年度とみなして所得の金額等を計算した場合には、上記の前年度実績による中間申告書に代えて、仮決算による中間申告書を提出することができます。

留意点

前年度実績で計算した法人税が10万円以下の場合や、仮決算による中間申告で計算した金額が前年度実績により計算した金額を上回る場合には、仮決算による中間申告書を提出することができません。

当期の業績が去年に比べて大幅に下がる見込みがあるときには、仮決算による中間申告を行えば、中間申告分の納税額を下げられる場合がありますので、仮決算による中間申告を検討しましょう。

中間申告書の提出が不要な法人

次の6つのケースのいずれかに該当する場合には、中間申告書を提出する必要はありません。

  • 清算中の法人(清算中とは、法人が解散決議をした後の事業年度をいいます。)
  • 公益法人等、協同組合等、人格のない社団等
  • 当年度の事業年度が6月以内の場合
  • 設立事業年度(適格合併による設立事業年度は除きます。)
  • 前年度実績で計算した法人税が10万円以下
  • 災害等により期限が延長され中間申告と確定申告の期限が一致した場合

中間申告書を提出しなかった場合(前年度実績によるみなし申告)

中間申告書を提出しなかった場合には、提出期限において前年度実績による申告書を提出したとみなされます。つまり、提出期限が過ぎた後では、仮決算による中間申告を選択することはできなくなりますのでご注意ください。

仮決算による中間申告をしない場合には、わざわざ中間申告書を作成しないというのも手です。申告書は作成しませんが、前年度実績による中間申告の税額は期限までに納める必要がありますので注意が必要です。

地方税・消費税の中間申告について

法人税と同様に、道府県民税・市町村民税や事業税及び特別法人事業税についても中間申告が必要です。申告のしかたは法人税に準じて行います。

消費税についても中間申告制度があります。法人税とは異なる部分がありますが、税金の前払制度であり、基本的な考え方は同様です。

まとめ

法人税の中間申告には前年度実績による予定申告と仮決算による中間申告の2点があります。

前期が赤字の場合には、中間申告・納付はありません。

前期に法人税を納めている場合には、確定申告が終わった時点で前年度実績による中間申告の金額は判明しますので、資金繰りの観点からも早めに翌期の中間申告義務の有無を確認しておきましょう。

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