【税理士解説】相続税申告・計算・節税の基本と2次相続の備え

こんにちは。税理士の筒井一成です。

相続税は「申告手続き」「計算方法」「節税策」を理解し、さらに2次相続(配偶者が亡くなったときに発生する相続)まで視野に入れることで、家族の負担を大きく減らせます。

相続税の申告のしかた

相続税申告は被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に行います。戸籍の収集で法定相続人を確定し、財産目録を作成したうえで、相続税申告書(第1表ほか)を税務署へ提出します。近年はe-Taxを利用したオンライン申告も可能で、添付資料の省力化や延納の手続きがスムーズです。

弊事務所は100%e-taxで申告しています。その際添付書類はイメージ添付ができますが、容量の制限があり、送る際にデータ量を減らすために苦労しますので、私はPDFにした資料データをDVDに落として郵送で税務署に送っています。(この点はすべて電子申告で完結していないので納得はしていませんが。。。今後添付できるデータ容量が増えることを祈ります。)

相続税の計算方法

まず遺産総額から債務・葬式費用を引き、正味遺産額を出します。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数を差し引き、残った課税遺産総額を法定相続分で按分します。各人の取得額に速算表(税率10〜55%)を当てはめて相続税総額を算出し、最後に各種税額控除で調整します。

遺産総額には生命保険金や企業年金などの収入もみなし財産として相続税の対象です。

口座名義が亡くなられた方ではない預金でも、亡くなられた方が実質的に管理していた(通帳と印鑑を保管していたなど。名義預金といいます)預金口座も相続の対象になりますのでご注意を。

相続税を安くする主な方法

代表的な節税策は次のとおりです。
配偶者の税額軽減:配偶者が取得した遺産のうち①1億6,000万円までか②法定相続分相当額の多い方まで相続税ゼロ。配偶者はほとんどの場合相続税がかかりません。
小規模宅地等の特例:自宅や事業用地を要件を満たして相続すると最大80%評価減。これが適用できると相続税が一気に安くなる。
生前贈与の活用:基礎控除110万円の活用や教育資金贈与などで長期的に財産を移転し、課税財産を圧縮します(贈与財産の相続加算期間が7年に延長された点に注意。相続直前に贈与しても相続税の計算に足すことになります。つまりせっかくした節税は無駄になります)。まだまだ長生きするぞという方は生前贈与をコツコツ行って財産を下の世代に移して節税しましょう。

2次相続を考える

第1次相続で配偶者へ遺産を集中させると、配偶者の死亡時に課税ベースが膨らむ恐れがあります。そこで
(1) 長男・長女へも適度に分配し課税均衡を図る
(2) 配偶者が取得した財産の評価減(小規模宅地等)や生命保険を活用し納税資金を確保する
(3) 相次相続控除を理解し、最初の相続から10年以内に起きた2次相続では前回納付税額の一部が控除される点を把握する
などの対策が重要です。

まとめ

相続税対策は「期限管理・計算根拠・控除制度・2次相続の視点」の四本柱が鍵です。早めに財産内容を整理し、専門家とプランを立てることで納税額と家族の心理的負担を大幅に抑えられます。ご不明点はお気軽に税理士へご相談ください。