合同会社と株式会社の基本構造
合同会社(LLC)は「社員=経営者」。出資比率に関係なく一人一票で意思決定でき、登録免許税は資本金×0.7%(下限6万円)、定款認証も不要です。
株式会社は「株主=所有者」「取締役=経営者」という分離型。登録免許税は資本金×0.7%(下限15万円)に加え、公証人による定款認証料が約5万円かかります。
メリット・デメリットをサクッと比較
項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
設立コスト | 約6~10万円 | 約20万円超 |
意思決定 | 社員全員で柔軟に決定 | 株主総会等で形式的 |
資金調達 | 出資増資のみ | 株式発行やVC投資が容易 |
決算公告 | 不要 | 官報などで公告義務 |
社会的信用 | やや低いが実績次第 | 高く金融機関に有利 |
法人税申告の流れはどう違う?
申告書様式と提出期限(決算日から2か月以内)は両形態とも共通。別表一ほかを税務署・都道府県に提出します。
違いは決算公告コスト。株式会社は公告義務があるため官報掲載料などが発生しますが、合同会社は不要なぶん運営コストが軽くなります。
信用力の差は?
取引先や金融機関はガバナンスが明確な株式会社を高く評価する傾向があります。一方、Amazon Japan 合同会社やApple Japan 合同会社の例が示すように、実績があれば合同会社でも十分な信用を得られます。スタートアップで小回りを利かせて成長し、のちに株式会社へ組織変更するルートも一般的です。
税理士の見解
税理士のわたくし個人的には株式会社を始めから設立された方がよろしいかなと感じています。
合同会社もだいぶ知られてはきていますが、具体的に株式会社とはどう違うのかという点は、明確にはあまり知られていないことが多い印象です。
合同会社は設立はしやすいですが、個人事業主の延長線上のイメージもあり、名刺を渡した時に、合同会社という文字に違和感を感じたりされてしまう要素が少しでもあるのであれば、取引は信用が大事なので、いっそのこと株式会社にしてしまってもいいのかなと思います。
法人税や消費税の申告の手間も株式会社とほとんど変わりませんし、変わるのは設立時のコストだけです。法人税や消費税の申告書は株式会社のものと全く同じものを使います。
もちろん、銀行融資を受ける予定もなく、取引先との関係上も問題ないのであれば合同会社でも全く問題ありません。
最終的にはどう捉えてどちらを選ぶかは経営者が好きな方を選べばよろしいかなと思います。
必要に応じて後で組織変更もできますので。
銀行の借り入れに関しては、合同会社でも、収益性が高い会社であれば、お金を貸してくれますし、逆に信用が高いと言っても、株式会社で毎回赤字だったら貸してくれないということには当然なります。決算書の内容が大事ということです。
税理士/元資格の大原法人税法非常勤講師(2019年~2024年の5年間)
1982年生まれ
平成31年3月 税理士登録
2021年3月に独立 筒井一成税理士事務所を川崎市宮前区にて開業
2024年3月 事務所を世田谷区等々力に移転
現在世田谷区等々力を拠点として活動中。主に法人の顧問や相続のご相談をお受けしています。
ブログでは役に立つ税金の情報などを中心に発信していきます。
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