こんにちは。税理士の筒井一成です。
相続税の申告・納付が終わっても、税務署から問い合わせや税務調査が入る可能性は最長7年間残ります。これは、国税通則法で更正や決定ができる期間が原則5年、仮に財産隠し等が疑われれば7年に延びるためです。
相続税関係の書類(最低7年)
- 相続税申告書控え・計算明細書一式(税理士作成分を含む)
- 納付書・領収済通知書・延納申請書・物納関係書類等
- 財産評価に使った不動産登記事項証明書・固定資産税評価証明書・路線価図など
- 預貯金の残高証明書・証券会社の残高報告書(死亡日現在)
- 生命保険金支払通知書・退職金支給明細書
- 葬式費用の領収書(課税価格から控除した場合)
- 故人の贈与税申告書・贈与契約書(死亡前3年の生前贈与確認用)
故人の所得税関係(5年)
- 過去5年分の確定申告書控え・青色決算書・源泉徴収票等
- 帳簿や領収書類(事業・不動産所得があった場合)
相続税調査では、過去の所得状況や贈与歴から財産形成の流れを確認されるため、所得税資料も必須です。
相続人側で残すべき補助資料
- 遺言書の写し・遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書
- 土地の測量図・不動産売買契約書(将来譲渡時の取得費証明にもなる)
- 借入金返済予定表・債務一覧(債務控除の根拠)
- 銀行通帳・クレジット明細のコピー(名義預金の有無を説明できる)
保管方法と注意すべき落とし穴
- 原本とスキャンデータの二重保存を。e-Taxで提出した添付書類の画像も5年間は保存義務があります。
- 電子データは改ざん防止のため、PDFにタイムスタンプを付けてクラウド保存。(タイムスタンプの導入はハードルが高いので、原本があれば今のところは問題なさそうです。)
- 「相続税は終わったから処分していい」と早計に捨てない。特に不動産の資料は将来譲渡所得を計算する際にも必須。
- 税務署の問い合わせは突然来る。書類が揃っていないと、追徴課税や重加算税リスクが高まる。
まとめ
保管すべき書類は続税の申告に使用したものとお考えください。
相続税の安心は「払って終わり」ではなく「証拠を残して完結」です。少なくとも7年は、故人の財産評価・納税・贈与・所得の流れを説明できる一式を保管しましょう。疑問がある場合は、税理士に相談しながら整理すると安心です。
税理士/元資格の大原法人税法非常勤講師(2019年~2024年の5年間)
1982年生まれ
平成31年3月 税理士登録
2021年3月に独立 筒井一成税理士事務所を川崎市宮前区にて開業
2024年3月 事務所を世田谷区等々力に移転
現在世田谷区等々力を拠点として活動中。主に法人の顧問や相続のご相談をお受けしています。
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