本日、令和4年12月16日に令和5年税制改正大綱が自民党より公布されました。
税制改正大綱というのは改正前の「たたき台」で、実際に法律として決定するのは例年翌年の3月頃になります。
目次
税制改正の概要
日本社会には2,000兆円もの個人金融資産、500兆円に及ぶ企業の内部留保が眠っているそうです。
令和5年税制改正の目玉としては、この金融資産等を経済に回すために、「貯蓄」から「投資」をより加速するような税制改正が行われます。具体的には一般NISAやつみたてNISAの非課税の投資上限枠の拡充などです。
一般NISA・つみたてNISAの非課税枠の拡充
一般NISA
非課税の投資上限枠 現在年間120万円まで
改正後 年間240万円に増大(改正前の2倍)
つみたてNISA
非課税の投資上限枠 現在年間40万円まで
改正後 年間120万円に増大(改正前の3倍)
一般NISAとつみたてNISAを合わせれば年間360万円まで非課税で投資が可能。
※ただし、高所得者層については一定の制限あり。(一生涯にわたる非課税限度額を設定)
暦年贈与の改正
暦年課税における相続前贈与の加算
暦年贈与については、年間110万円までは非課税です。
資産をお持ちの方の相続対策として、毎年110万円の非課税枠の範囲内で贈与をして資産を子や孫に移転することで相続税負担を減らそうとすることが挙げられます。
ただし、改正前は相続開始前3年以内の駆け込みの贈与分については、相続税の計算上財産に加算しなければなりませんでした。
今回改正で、相続開始前3年⇒7年に延長されました。
したがって、相続対策を今まで通りするならば、相当早い段階から行う必要があります。
国としては若い世代に早く資産が移転すれば経済が良くなると考えているようです。
教育資金の一括贈与の非課税
教育資金の一括贈与の非課税も、相続税を減らす相続対策としては有効な方法ですが、今回の改正では3年間は延長されるようです。
但し、利用数の減少や資産を多く保有する方ばかりが利用する傾向があり、今後は廃止の方向に進む見込みのようです。
法人税の改正
法人税額に対し、税率4~4.5%の新しい付加税が課されることになります。
ただし、中小企業に配慮して基準となる法人税額から500万円を控除します。年間所得2400万円以下の中小法人は課税対象から除外され、約96%の中小企業は対象外となります。
直ちにすべての法人の負担が増えるということではないようです。
所得税の改正
所得税額に対して、当分の間、税率1%の新たな付加税が課されることになります。
ただし、すでに現在負担している復興特別所得税の税率が1%引き下げられます。
法人税・所得税の増税について
上記4.5の法人税、所得税の改正は令和6年以降の「適切な時期とする」とのことで、はっきり決まったわけではなさそうです。
※防衛費の財源確保ということでの増税で連日ニュースで取り上げられていますね。
相当国民の反発が予想されますので、今後変更される可能性はありそうです。
おわりに
改正案は他にも多数ありますが、今回は速報的に私個人的に注目する部分を中心にピックアップしました。※記事には個人的な見解も含まれています。
他の改正内容については、他の記事でお話ししたいと思います。
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この記事を書いた人
税理士/ファイナンシャル・プランナー/元資格の大原法人税法非常勤講師(2019年~2024年の5年間)
1982年生まれ
平成31年3月 税理士登録
2021年3月に独立 筒井一成税理士事務所を川崎市宮前区にて開業
2024年3月 事務所を世田谷区等々力に移転
現在世田谷区等々力を拠点として活動中。主に法人の顧問や相続のご相談をお受けしています。
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