こんにちは。税理士の筒井一成です。
以前の記事で減価償却について書きましたが、新品の資産が前提でした。
今回は新品ではなく中古の資産を買ってきた場合の減価償却はどうなるのかについてお話ししていきたいと思います。
中古で買ってきた資産は新品よりも長く使うことができません。
したがって中古の耐用年数は法定耐用年数よりも短くできるという訳です。
具体的には法定耐用年数に代えて中古の耐用年数によることができます。
新品のものよりも償却を多くすることができますので、新品よりも早く経費化できるということになります。
法定耐用年数とは
固定資産(建物、建物附属設備、構築物、機械装置、器具備品などの資産)には耐用年数というものがあります。
耐用年数は減価償却の計算上必要な要素であるため税法で資産の種類や設備の種類ごとに細かく定められています。
法律(税法)で定めらている耐用年数なので、法定耐用年数と言います。税金の計算ではこの法定耐用年数を使っていくことが原則です。この法定耐用年数は新品取得を前提として定められているものなので、中古資産に使うのは適切ではないということで、中古資産の減価償却が別途認められています。
中古資産の減価償却で実務上よく使われる方法として、「簡便法」というものがあります。
今回は簡便法について解説していきます。
法定耐用年数の一部を経過している場合
計算式
(法定耐用年数―経過年数)+経過年数×20%=中古資産の耐用年数
計算の結果端数が出た場合
1年未満切り捨て 例(8年―6年)+6年×20%=3.2年→3年
2年未満の場合は2年 例(4年―3年)+3年×20%=1.6年→2年
法定耐用年数の全部を経過している場合
計算式
法定耐用年数×20%=中古資産の耐用年数
月数ベースの計算方法
正確には実務上は年数ベースではなく月数ベースで計算します。月数ベースで計算しても端数処理などのやり方は同じです。
法定耐用年数8年 経過期間3年8月の場合
①(96月―44月)+44月×20%=60.8月(月数ベース)
※8年×12月=96月
※3年×12月+8月=44月
②60.8月/12月=5.06…年(年ベースに直す)→5年(1年未満切り捨て)
∴5年(中古耐用年数)
まとめ
よく節税の話で4年落ちの高級車を買いましょうという話がありますが、今回の中古資産の計算を利用した話です。ただ、新品も中古も結局のところ最終的に経費になる総額は同じです。買った値段以上に経費になる訳がありませんので。経費になる時期が早まるだけということを念頭に入れて購入の判断をすることが重要なのではないかと思います。
今回のお話しは以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
筒井一成